📖 経理の解説

請求書を分ければ源泉徴収は安くなる? 100万円の合算ルールを解説

公開日: 2026年7月26日

この記事は一般的な考え方を分かりやすく整理したものです。実際の税務処理は個別の事情によって異なります。最終的な判断は、必ず顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。
シトロン坊や
同じ人から、現場や案件ごとに請求書が何枚かに分かれて届くこと、あるよね。「請求書ごとに源泉徴収を計算した方が、金額が低くて親切かも」って思ったこと、ぼくもあるんだけど……実はこれ、まとめて1回で支払うなら合算して判定するのが実務の一般的な考え方なんだって。いっしょに整理してみよう!

結論: まとめて1回で支払うなら、合算して100万円判定するのが実務上の一般的な考え方です

個人への原稿料・デザイン料・講演料などの報酬・料金は、支払う金額が100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%という2段階の税率になります。この「100万円」の判定は、請求書が何枚に分かれていても、実際に1回でまとめて支払う金額で判定してよい、というのが実務での一般的な扱いです。

請求書を分けても、まとめ払いなら合算されます。「分ければ税率が下がる」わけではありません。

根拠: 国税庁の基本通達

この考え方は、国税庁の法令解釈通達(所得税基本通達205-1)にある次の一文がもとになっています。

「同一人に対し1回に支払われる金額」とは、同一人に対し1回に支払われるべき金額をいう。ただし、税率を乗ずべき金額の判定に当たっては、現実に1回に支払われる金額によって差し支えない

本来は契約ごとに判定するのが原則ですが、実際にまとめて1回で支払う金額をもとに判定してよい、と明記されています。くわしくは国税庁の法第205条《徴収税額》関係の通達で確認できます。

「分ければ安くなる」わけではない、というのがポイント

同じ取引先への支払いが月に何回かに分かれていると、「請求書ごとに計算した方が、それぞれ100万円以下におさまって税率が低くなるのでは」と考えてしまうことがあります。でも、実際にその請求書たちをまとめて1回の支払いにするなら、合算した金額で100万円判定をするのが一般的な扱いです。

支払うタイミングを完全に分ける(別々の日に個別に振込む)場合は、それぞれの支払い額で判定できる場合もありますが、源泉徴収が不足すると支払う側にペナルティが生じるため、実務では合算して保守的に判定する会社が多いのが実情です。個別の判断は必ず顧問税理士にご確認ください。

【請求する人へ】フリーランス目線のポイント

🖊 同じ取引先への請求がまとまる月は要注意

同じ会社から複数の現場・案件を任されていて、月内の請求額の合計が100万円に近づいたりそれを超えたりする場合、まとめ払いだと源泉徴収額が思ったより多くなることがあります。「手取りでこれだけ欲しい」という金額から逆算するときは、この合算の可能性も考えておくと安心です。

源泉徴収の逆算ツールを使う(別タブ) →

【支払う人へ】会社の経理目線のポイント

🧾 「複数請求書の合算」判定は忘れがち

同じ人から複数の請求書が届いたとき、1枚ずつ処理していると、合算すれば100万円を超えるケースを見落とすことがあります。特に、現場や案件ごとに請求書が分かれて届く取引先がいる場合は、月の締めのタイミングでまとめて確認する習慣が安心です。

複数請求書の合算モードを使う(別タブ) →

具体例で計算してみましょう

同じ人から届いた請求書4枚(各300,000円、合計1,200,000円)を、月末にまとめて1回で支払う場合の計算例です(消費税は考えないものとします)。

請求書4枚の合計額1,200,000 円
100万円までの部分(10.21%)102,100 円
100万円を超える部分(20万円 × 20.42%)40,840 円
源泉徴収税額(合算判定)142,940 円

もし4枚をそれぞれ別々に10.21%で計算してしまうと、300,000円 × 10.21% × 4枚 = 122,520円。合算判定との差は20,420円です。「分ければ安くなる」と思い込んだままだと、この分だけ源泉徴収が不足してしまいます。下の計算ツールの「複数請求書の合算」モードでは、この比較を自動で計算できます。

まとめ

くりかえしになりますが、この記事は一般的な考え方の整理です。実際の処理や個別の判断は、必ず顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。

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