短歌の字余り・字足らずとは?
5・7・5・7・7から外れてもいい?
〜日々、三十一音のひとりごと文藝〜
「短歌を作ってみたい!」
そう思って言葉を並べてみると、こんな疑問が出てきませんか?
「5・7・5・7・7にならない……」「1音多いけど、これって間違い?」「あと1音足りない。どうすればいい?」
私自身も短歌を作っていると、「あと1音なのに……」と迷うことがあります。
先に結論を言うと、5・7・5・7・7から外れたからといって、それだけで間違いになるわけではありません。短歌には、基本の音数から外れる「字余り」や「字足らず」があります。
この記事では、字余り・字足らずの意味から、音数が合わないときにどう考えればよいのかまで、初心者向けに一緒に見ていきます。
この記事で分かること
- 短歌の「5・7・5・7・7」とは?
- 字余り・字足らずとは何か
- 5・7・5・7・7から外れてもいいのか
- 字余り・字足らずは何音までなのか
- 音数が合わないとき、どう直せばいいのか
- 字余り・字足らずを実際の一首で比べる方法
短歌は「5・7・5・7・7」が基本
短歌は、基本的に5・7・5・7・7の5つの句からできています。
| 句 | 基本の音数 |
|---|---|
| 1句目 | 5音 |
| 2句目 | 7音 |
| 3句目 | 5音 |
| 4句目 | 7音 |
| 5句目 | 7音 |
合計すると、基本形では31音です。
ただし、ここで大切なのは、短歌では文字の数ではなく「音数」で考えるということ。
たとえば「きょう」は、文字としては「き・ょ・う」の3文字ですが、音数では「きょ・う」で2音です。
短歌の音数の数え方については、こちらの記事で詳しく説明しています。
▶ 短歌の音数の数え方|5・7・5・7・7はどうやって数える?
字余りとは?
本来5音・7音などになる各句の音数が、基本の音数より多くなることを「字余り」といいます。
たとえば、7音のところに8音入れば、1音の字余りです。
字足らずとは?
字余りとは反対に、本来5音・7音などになる各句の音数が、基本の音数より少なくなることを「字足らず」といいます。
たとえば、7音のところに6音しか入っていなければ、1音の字足らずです。
| 状態 | 基本の音数 | 実際の音数 | ちがい |
|---|---|---|---|
| ぴったり | 7音 | 7音 | 同じ |
| 字余り | 7音 | 8音 | 1音多い |
| 字足らず | 7音 | 6音 | 1音少ない |
「1音多いから失敗した」とは限りません。短歌では、あえて基本の音数から外れることもあります。
字余り・字足らずは間違い?|5・7・5・7・7から外れてもいい?
音数が字余りや字足らずになったとき、5・7・5・7・7から外れてもいいのでしょうか。
外れても、それだけで短歌として成立しないとは限りません。
ただ、外れていいと決めてしまう前に、一度立ち止まってみましょう。
まずは、「5・7・5・7・7に戻せないか?」と考えてみる。それでも「この言葉を残したい」と思うなら、声に出して確かめてみる。
そんなふうに考えると分かりやすいでしょう。
字余り・字足らずは何音まで?|決まったルールはある?
「1音ならいい?」「2音多くてもいい?」と気になりますよね。
字余り・字足らずについて、何音までなら必ずOKという一律の決まりはありません。
ただし、音数が大きく外れるほど、基本の5・7・5・7・7のリズムからは離れていきます。そのため、初心者のうちは、
まず基本の音数に整えられないか考えてみる
のがおすすめです。
言葉を変えたり、削ったり、足したりして、それでも残したい言葉があるなら、実際に声に出してみましょう。
音数だけでなく、自分がその言葉を残したいと思うか、声に出したときにどう聞こえるかも大切です。
実際の一首で、字余りを比べてみよう
ここでは、一つの言葉を変えて、音数による違いを見てみます。
たとえば、こんな一首を考えてみます。
春風が 桜の花を 吹き抜けて いつもの道に 春を連れてく
この中の、1句目の「春風が」は、
は・る・か・ぜ・が → 5音
で5音。5・7・5・7・7の1句目に、ぴったり収まります。
では、ここを「春の風が」に変えてみましょう。
は・る・の・か・ぜ・が → 6音
で6音。1音増えました。
この2つを、一首まるごと並べてみます。
5・7・5・7・7 ぴったり31音
1句目が6音 1音の字余り
言葉そのものは大きく変わっていませんが、声に出してみると、基本のリズムから少し外れたことが分かります。
ここで、「絶対に5音に戻さなければいけない」と考える必要はありません。でも、
「春風が」と「春の風が」、どちらが自分の伝えたい感じに近いだろう?
と考えてみる。これが、字余りを実際に考えるときのポイントです。
音数が合わないときは、まず言葉を変えてみる
短歌を作っていると、「あと1音足りない」「1音多い」ということがよくあります。
そんなときは、すぐに字余り・字足らず(基本の音数から外れた形)で決めてしまうのではなく、まず言葉を変えてみましょう。
たとえば、こんな一首を作っていたとします。
垣根から 花ひとつ 朝の道 きのう見たとき つぼみだったね
2句目の「花ひとつ」を数えてみると、
は・な・ひ・と・つ → 5音
で5音。2句目は7音の句なので、2音足りません。このままだと、2音の字足らずです。
そこで、言葉を変えて「花ひとつ咲く」にしてみます。
は・な・ひ・と・つ・さ・く → 7音
で7音。ぴったり収まりました。一首にすると、こうなります。
5・7・5・7・7 ぴったり31音
※言いたいこと(花がひとつ咲いていた)は変えずに、「咲く」を足しただけで7音になりました。
このように、
- 言葉を言い換える
花ひとつ(5音) → 一輪の花(7音) - 言葉を一つ足す
花ひとつ(5音) → 花ひとつ咲く(7音) - 余分な言葉を削る
きのう見たときは(8音) → きのう見たとき(7音) - 語順を変えてみる
垣根から/花ひとつ咲く → 花ひとつ/垣根に咲いて
※語順を変えても、音数の合計は変わりません。でも、どの言葉を先に出すかで、句の切れ目や印象が変わります。
など、いろいろ試してみると、思いがけずぴったりの言葉が見つかることがあります。
それでも、この言葉を残したいときは?
音数を合わせようと言葉を変えてみても、「やっぱり、この言葉を使いたい」と思うことがあります。
そんなときは、実際に声に出してみましょう。目で読むだけでは気づかなかったリズムの違いが、耳で聞くと分かることがあります。
字余り・字足らずには、「これなら絶対にOK」という一つの答えがあるわけではありません。
音数を整えることと、自分が伝えたい言葉。その両方を比べながら選んでいく。それでいいのです。
字余り・字足らずで、読み方はどう変わる?
音数が基本の形から外れると、読んだときのリズムも変わります。
ある言葉が強く印象に残ったり、流れが少しゆるやかに感じられたり、言葉の途中に間を感じたり。
ただし、「字余りだから必ずこうなる」というものではありません。
字余り・字足らずの効果を暗記するより、実際に声に出して、「自分にはどう聞こえる?」と確かめてみるほうが、短歌を作るときには役立ちます。
迷ったら、まず5・7・5・7・7に戻してみる
音数が合わないときは、こんな順番で考えてみましょう。
① 音数を数える
まず、どこが多いのか、少ないのかを確認します。
② 言葉を変えてみる
似た意味の言葉に言い換えられないか考えます。
③ 足したり、削ったりする
必要な言葉を足したり、なくても意味が通じる言葉を削ったりします。
④ 語順を変えてみる
言葉の順番を変えるだけで、音数が合うこともあります。
⑤ 声に出してみる
最後は、実際に声に出して聞いてみましょう。
それでも、「この言葉はどうしても残したい」と思うなら、その言葉を選ぶのも一つの方法です。
まとめ|まず数えて、言葉を選んでみよう
短歌の基本は、5・7・5・7・7。でも、実際に短歌を作っていると、音数がぴったり合わないことがあります。
そんなときは、「1音多いから失敗」とすぐに決めなくても大丈夫です。まずは、
数えてみる。
↓
言葉を変えてみる。
↓
声に出してみる。
それでも残したい言葉があるなら、もう一度その言葉を選ぶ。
5・7・5・7・7という基本を知ったうえで、音数と自分の言葉のバランスを探していきましょう。
また一首、作ってみませんか?
次に読むなら
短歌を作るために、次はこんな順番で学んでみるのがおすすめです。