📖 経理の解説

0.1021とは? 源泉徴収の10.21%の意味と計算方法

公開日: 2026年8月2日

この記事は一般的な考え方を分かりやすく整理したものです。実際の税務処理は個別の事情によって異なります。最終的な判断は、必ず顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。

結論: 0.1021 は源泉徴収の税率「10.21%」のことです

先に答えからお伝えします。エクセルや請求書のひな型に入っている 0.1021 は、源泉徴収の税率 10.21% を小数で書いたものです。

0.1021 = 10.21% = 所得税 10% + 復興特別所得税

原稿料・講演料・デザイン料・出演料などの報酬・料金を個人に支払うときに使う税率です。「報酬額 × 0.1021」で源泉徴収する金額が出る、という計算式になっています。

シトロン坊や
引き継いだファイルに 0.1021 って入ってて、「これ何の数字?」って調べに来た人、けっこう多いと思うんだ。ぼくもね、ずっと 10% + 0.21% の足し算だと思ってたんだけど……実はそうじゃなかった。いっしょに中身を開けてみよう!

なぜ 10% ではなく 10.21% なのか

もともとの所得税の税率は 10% です。そこに 復興特別所得税が上乗せされているため、合計で 10.21% になっています。

復興特別所得税は、東日本大震災からの復興財源にあてるための税金で、源泉徴収のときは所得税と合わせて一緒に徴収するしくみになっています。そのため、実務では 10% と 0.21% を別々に扱うことはなく、はじめから 10.21%(= 0.1021)としてひとまとめに計算します。

くわしくは、国税庁のタックスアンサー「No.2507 復興特別所得税の源泉徴収」で確認できます。

【この記事の核心】上乗せは「足し算」ではなく「掛け算」です

ここが、この数字のいちばん誤解されやすいところです。

復興特別所得税は、「所得税額の 2.1%」として決められています。報酬額の 2.1% ではありません。もとの所得税として計算した金額に対して、さらに 2.1% を掛ける、という決まり方をしています。

国税庁の表現では、こう書かれています。

合計税率は、所得税率(%)×102.1%です。

数字で追うと、こうなります。

もとの所得税額100 円
復興特別所得税(所得税額の 2.1%)2.1 円
合わせて源泉徴収する金額102.1 円

つまり、源泉徴収するのは「もとの所得税額の 102.1%」です。だから税率そのものも 102.1% を掛けて求めます。

10% × 102.1% = 10.21%

「10% に 0.21% を足した」のではなく、「10% に 102.1% を掛けた」結果が 10.21% です。0.21% という数字は、あらかじめ決まっていたものではありません。掛け算をした結果として出てきた数字です。

20.42% も、同じ一本のルールから出てきます

源泉徴収には、もうひとつよく見る税率があります。20.42%です。これは、同じ人への1回の支払いで 100万円を超えた部分に使う税率で、もとの所得税の税率は 20% です。この 2段階のしくみは、国税庁のタックスアンサー「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」で確認できます。

ここで、さっきの「足し算」の考え方をあてはめてみると、おかしなことになります。

この食い違いが、掛け算だと分かると解けます。

20% × 102.1% = 20.42%

10.21% と 20.42% は、別々に暗記する 2つの数字ではありません。どちらも「もとの所得税率 × 102.1%」という同じ一本のルールから出てきた、兄弟のような数字です。ここが分かると、数字を覚えるのではなく導けるようになります。

もとの所得税率 10% × 102.1%10.21 %
もとの所得税率 20% × 102.1%20.42 %

いつからいつまで使う税率なの?

復興特別所得税は、平成25年(2013年)1月1日から、源泉所得税とあわせて源泉徴収することとされています。当初は令和19年(2037年)12月31日までとされていましたが、その後の法律改正により、令和29年(2047年)12月31日まで 10年間延長されました。

つまり、いま実務で扱っている報酬の源泉徴収は、この期間の中にあります。だから 10% ではなく 10.21% を使う、ということです。

あわせて、2027年(令和9年)1月からは 防衛特別所得税 が始まり、上乗せ部分の内訳が入れ替わります。ただし合計の 10.21% は変わりません。くわしくは 防衛特別所得税とは? 源泉徴収の10.21%は2027年からどうなる をご覧ください。

実務メモ: 1円未満は切り捨て

報酬額に 0.1021 を掛けると、たいていは小数点以下が出ます。源泉徴収税額を計算するときは、1円未満(小数点以下)を切り捨てます。四捨五入ではありません。

エクセルで計算する場合、=A1*0.1021 だけだと小数が残ったまま集計されてしまうことがあります。切り捨ての処理を入れているか、確認しておくと安心です。端数処理の具体的な扱いに迷う場合は、顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。

具体例で計算してみましょう

① 報酬額が決まっている場合(報酬 100,000円・消費税は考えないものとします)

報酬額100,000 円
源泉徴収税額(100,000 × 10.21%)10,210 円
差引の手取り額(振込額)89,790 円

② 手取りで 100,000円 を受け取りたい場合(逆算)

「手取りできっちり 100,000円 にしたい」というときは、請求書に書く報酬額のほうを逆算します。

請求書に書く報酬額111,370 円
源泉徴収税額(10.21%・1円未満切り捨て)11,370 円
差引の手取り額(振込額)100,000 円

検算してみます。111,370 × 10.21% = 11,370.877 円 → 1円未満を切り捨てて 11,370 円。111,370 − 11,370 = 100,000 円。きれいに合いました。

この逆算は手で解くと少し面倒なので、下の計算ツールを使うと一瞬で出せます。

【請求する人へ】フリーランス目線のポイント

🖊 「手取りいくら」から逆算しておくと安心

報酬額をそのまま請求すると、振り込まれるのは 10.21% を引かれたあとの金額です。「手取りでこれだけ受け取りたい」という金額がある場合は、はじめから逆算して請求額を決めておくと、あとで慌てずにすみます。

なお、源泉徴収された分は前払いした所得税なので、確定申告で精算されます。引かれっぱなしになるわけではありません。

シトロン式 源泉徴収の逆算ツールを使う(別タブ) →

【支払う人へ】会社の経理目線のポイント

🧾 0.1021 の「意味」が分かると、ひな型を疑えるようになります

引き継いだエクセルに 0.1021 が入っていると、つい「そういうもの」として使ってしまいがちです。でも中身が「所得税率 × 102.1%」だと分かっていれば、100万円を超える支払いのときに 20.42% へ切り替わることや、端数処理が切り捨てになっていることを、自分で点検できるようになります。

特に、100万円超の判定が入っていないひな型は要注意です。源泉徴収が不足すると、支払う側(会社)が責任を問われます。

100万円超の20.42%も計算する(別タブ) →

まとめ

くりかえしになりますが、この記事は一般的な考え方の整理です。実際の処理や個別の判断は、必ず顧問税理士や所轄の税務署にご確認ください。

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