短歌・俳句の小さい文字と伸ばし棒の数え方
「ティー」「ファッション」は何音?
〜日々、三十一音のひとりごと文藝〜
「ティー」って、何音?
「ファッション」は?
短歌を作っていて、指で音数を数えていたら、ふと手が止まったことがあります。
カタカナの言葉が入ってくると、
「小さい『ィ』は数えるの?」
「『ー』は1音?」
「『っ』はどうする?」
と、急に分からなくなります。
私も短歌を始めたばかりのころ、ひとつひとつ指で数えながら一首を作っていました。ひらがななら何となく数えられるのに、カタカナになると、なんだか様子が違う。しかも「ティー」のように、実際に声に出してみると、思っていたより数えにくい言葉もあります。
そこで今回は、短歌や俳句の音数を数えるときに迷いやすい、小さい文字(小文字)や伸ばし棒「ー」についてまとめてみます。
このページでできること
- 「ティー」「ファッション」がそれぞれ何音か、自分で数えられるようになる
- 小さい「ゃゅょ」「ァィゥェォ」「っ」と伸ばし棒「ー」の数え方が分かる
- スマホ(携帯・スマートフォン)のメモを使って音を区切る方法が分かる
- 英語・アルファベット・数字の数え方が分かる
- この数え方が俳句でも同じだと分かる
まずは結論。五七五七七や五七五の音数はどう数える?
短歌の五七五七七も、俳句の五七五も、音数を数えるときは、文字の数ではなく、音の数を数えます。数え方は、短歌でも俳句でも同じです。
たとえば、
「ティー」は、ティ/ー → 2音
「ファッション」は、ファ/ッ/ショ/ン → 4音
小さい文字でも、すべて同じ数え方ではありません。
| 種類 | どう数える? | 実例 |
|---|---|---|
| 「ゃ・ゅ・ょ」 | 前の文字と合わせて数える | こ/きゃ/く → 3音 |
| 「ァ・ィ・ゥ・ェ・ォ」 | 前の文字と合わせて数える | ティ/ア/ラ → 3音 |
| 「っ・ッ」 | それ自体で1音 | か/っ/ぱ → 3音 |
| 伸ばし棒「ー」で表す長い音 | 1音として数える | コ/ー/ヒ/ー → 4音 |
| 「ん」 | それ自体で1音 | し/ん/ぶ/ん → 4音 |
ここで大事なのは、
「小さい文字だから数えない」わけではない
ということです。
「ゃ・ゅ・ょ」や「ァ・ィ・ゥ・ェ・ォ」は、前の文字と合わせて1音。一方、「っ・ッ」、伸ばし棒「ー」で表す長い音、「ん」は、それぞれ1音として数えます。
音数で迷ったら、まずは「文字」ではなく「音」に分けて考えてみましょう。
※音数の基本的な数え方は、短歌の音数の数え方でまとめています。
「ティー」を手拍子で数えてみよう
ここで、私が実際に迷った「ティー」を見てみます。
「ティー」は、ティ/ー → 2音
「ティ」は「テ」と「ィ」に分けず、ティで1音として数えます。そして、伸ばし棒「ー」で表す長い音は1音なので、
ティ/ー → 2音
です。
文字で見ると、
テ/ィ/ー → 3文字
ですが、音で数えると、
ティ/ー → 2音
になります。
ここまでは分かっていても、実際に「ティー」と声に出して、手拍子してみると、ちょっと迷いませんか。私は最初、ここでつまずきました。実際の発音では、伸ばした「イ」の部分が続けて聞こえるので、手拍子で数えると分かりにくく感じます。
伸ばしている音を( )で補ってみる
そこで私は、伸ばしている音を( )に入れて確認することにしました。
たとえば、
ティー → ティ(イ)
と考えてみます。「ティー」の「ー」が、前の「ティ」の母音にあたる「イ」を伸ばしている、と考えて補助的に書いています。これは短歌で使う正式な表記ではなく、音数を確認するための自分用の補助です。
ティ(イ)を音に分けると、
ティ/イ → 2音
となります。ほかにも、
コーヒー → コ(オ)ヒ(イ)
と考えると、
コ/オ/ヒ/イ → 4音
です。
「ー」を見たときに、「どの音を伸ばしているのかな?」と考えると、音数を確認しやすくなります。
スマホのメモで数えてみる
指で数えるのが分かりにくいときは、スマホ(携帯・スマートフォン)のメモに打ってみる方法もあります。
メモに言葉を打ったら、音の切れ目に「/」を入れていきます。
ティ/ー
ファ/ッ/ショ/ン
こうすると、音の数が目で見えるので、指で数えられなかった言葉も数えやすくなります。打ち直しも消すのも自由なので、紙に書くより気軽です。
「ファッション」は何音?
「ファッション」を文字で見ると、
フ・ァ・ッ・シ・ョ・ン → 6文字
です。でも、音に分けると、
ファ/ッ/ショ/ン
となります。
- ファ → 1音
- ッ → 1音
- ショ → 1音
- ン → 1音
なので、
ファッション → 4音
です。
「小さい文字は数えない」と考えてしまうと迷いますが、小さい「ァ・ィ・ゥ・ェ・ォ」や「ゃ・ゅ・ょ」は、前の文字と合わせて1音。小さい「っ・ッ」だけは、それ自体で1音です。
まぎらわしいカタカナ語を数えてみる
カタカナには、文字数と音数が違う言葉がたくさんあります。いくつか並べてみます。
| 言葉 | 音の区切り | 音数 |
|---|---|---|
| コーヒー | コ/ー/ヒ/ー | 4音 |
| ベッド | ベ/ッ/ド | 3音 |
| フォーク | フォ/ー/ク | 3音 |
| パーティー | パ/ー/ティ/ー | 4音 |
| チョコレート | チョ/コ/レ/ー/ト | 5音 |
| ウィンドウ | ウィ/ン/ド/ウ | 4音 |
カタカナになると、文字数と音数がかなり違って見えることがあります。そんなときは、いったん言葉を音ごとに区切ってみると分かりやすくなります。
小さい「っ」で迷ったら
「っ」は声に出している感じがしにくいので、音数に入れるのか迷いやすい文字です。
たとえば、
たまってく
を音に分けると、
た/ま/っ/て/く → 5音
となります。「っ」は、それ自体で1音として数えます。
「声が出ていないから0音かな?」と思ってしまいそうですが、ここはしっかり1音です。
もし音数が合わないときは、
- 小さい「っ」を見落としていないか
- 伸ばし棒「ー」で表す長い音を数えているか
- 「ティ」「ファ」「ショ」などを分けすぎていないか
を確認してみると、原因が見つかることがあります。
※音が多い・少ないときの考え方は、短歌の字余り・字足らずとは?で見ています。
英語・アルファベット・数字はどう数える?
短歌の中に英語やアルファベット、数字を入れることもあります。こうした場合は、実際にどう読むかで音数を数えます。
たとえば、
SNS → エ/ス/エ/ヌ/エ/ス → 6音
AI → エ/ー/ア/イ → 4音
同じアルファベットでも、読み方によって音数が変わることがあります。読み方が分かりにくい場合は、作品の中でひらがなやカタカナを使って読み方を示す方法もあります。
カタカナを使ってもいい?
もちろん、短歌でカタカナを使うことはできます。
同じ言葉でも、表記によって受ける印象が変わることがあります。たとえば、
ワンワン と わんわん
では、見た目の印象が少し違いますよね。カタカナのほうが、音や勢いを強く感じる人もいるかもしれません。
短歌では、音数だけでなく、こうした表記の見え方や言葉の印象も選ぶ楽しさのひとつです。
「拗音・促音・長音・撥音」という名前があります
ここまで出てきた音には、それぞれ名前があります。
- 「きゃ・きゅ・きょ」など → 拗音(ようおん)
- 「っ・ッ」 → 促音(そくおん)
- 伸ばし棒「ー」で表す長い音 → 長音(ちょうおん)
- 「ん」 → 撥音(はつおん)
「ティ」「ファ」のような、外来語を書き表すための小さい文字も、数え方は「ゃ・ゅ・ょ」と同じです。
名前は少し難しく見えますが、短歌や俳句を作るときに大切なのは、まずどう数えるかです。名前は、調べるときの手がかりとして知っておけば十分です。
なお、昔の文章では、「っ・ゃ・ゅ・ょ」が大きな「つ・や・ゆ・よ」で書かれていることがあります。古い短歌や俳句を読むときは、見た目の文字だけで音数を決めず、どう読むのかを確認してみてください。
俳句でも数え方は同じ
ここまで書いてきた数え方は、俳句でもそのまま使えます。五七五の十七音を数えるときも、文字の数ではなく音の数です。
小さい「っ」も、伸ばし棒「ー」で表す長い音も、俳句で1音として数えます。「ファッション」は俳句でも4音です。
※短歌と俳句のちがいは、短歌と俳句の違いとは?でまとめています。
まとめ
短歌や俳句の音数を数えるときは、文字数ではなく音の数を数えます。今回のポイントをまとめると、
- 「ゃ・ゅ・ょ」は前の文字と合わせて1音
- 「ァ・ィ・ゥ・ェ・ォ」も前の文字と合わせて1音
- 小さい「っ・ッ」は1音
- 伸ばし棒「ー」で表す長い音は1音
- 「ん」は1音
- 「ティー」は ティ/ー → 2音
- 「ファッション」は ファ/ッ/ショ/ン → 4音
- 英語・アルファベット・数字は、読み方で数える
- カタカナも短歌に使える
- 数え方は俳句でも同じ
そして「ー」のところで迷ったら、
「どの音を伸ばしているんだろう?」
と考えてみる。指で分からないときは、スマホのメモに打って「/」で区切ってみる。
私も「ティー」で一度立ち止まりました。短歌を作っていると、こういう小さな「?」が意外と出てきます。ひとつずつ調べながら、また一首に戻っていこうと思います。
※一首つくる手順は短歌の作り方とコツにまとめています。
※音の数がそろったら、次は意味の切れ目です。短歌の句切れとは?へどうぞ。
※数えながら作った歌は日々の一首に並べています。
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